展示コーナーの紹介

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受け継がれるふるさとの心と技を展示しています。

 山あいを流れる幾筋もの川に沿って拓けてきた住田町。このまちを取り囲む自然は、太古の時代からいつも人々とともにあり、人々に多くの恵みを与えてきました。山菜やキノコといった、季節ごとの「自然の幸」はいうまでもなく、産金や製鉄、良質な木材などの豊かな資源は、山間のまちに文化・産業の隆盛をもたらしてくれました。縄文期までさかのぼれば、数十キロ先の海との関わりがあったことに発し、奥州・藤原氏隆盛の時代には砂金集落として人が集まり、江戸期からは藩境の地、内陸と沿岸を結ぶ交通の要衝として、住田町は発達してきたのです。
 住田町民俗資料館では、こうした風土の中で、たくましく生き抜いてきた人々の昔を今にとどめ、その足跡をわかりやすく解説しています。

産金コーナー

産金コーナー産金コーナー産金コーナー産金コーナー

 日本初の産金が行われたのは、天平21年(749)、現在の宮城県涌谷町付近と推測されていますが、その後の研究で、それに継ぐ産金地のひとつに世田米が挙げられています。
 「産金コーナー」では、全国に誇る住田や気仙地域の産金の歴史を伝える道具など、約120点を展示。下有住「火の土鉱山跡」にあった鉱石を粉砕する搗鉱機(とうこうき)のほか、川砂金採取や鉱山で使われた道具、気仙川の橋りょう工事の際に見つかった全国で3番目に大きい川砂金のレプリカなどを見ることができます。

気仙大工コーナー

気仙大工

 出稼ぎ先で技術を身につけ、卓越した技能を持つ大工として、江戸時代から活躍してきた「気仙大工」は、住田町、大船渡市、陸前高田市の気仙地域が誇る産業文化です。その技を遺憾なく発揮した細工物などを館内に展示します。
 また、昭和初期の洋風建築の小学校校舎を再利用しているこの資料館も、気仙大工による建築物です。木材の性質や使う場所の見極めから細部の造作に至るまで、高い建築技術を随所に見ることができる「展示物」になっています。ヒノキの柱、ケヤキの階段など、見どころがたくさんあります。

佐藤霊峰コーナー

佐藤霊峰コーナー

 住田町上有住八日町出身の歌人(本名・兼夫、大正7(1918)年~昭和32(1957)年)。歌壇にあこがれて上京した霊峰は、昭和16(1941)年に女流歌人・柳原白蓮に師事。白蓮は、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で、仲間由紀恵さん演じる「葉山蓮子」のモデルとなった歌人です。霊峰は、白蓮のもとで歌道に精進をかさね、白蓮が主宰する同人誌「ことたま」の編集長を任せられるまでになりました。人柄を表すような誠実な歌風で、暮らしや愛郷、ロマンを歌い、その才能は高く評価されていましたが、咽頭癌のため1957年に38歳の若さで早世しました。
 当コーナーでは、「情熱の歌人」と称された佐藤霊峰の足跡や作品をパネル等で紹介します。
心よき疲れ おぼへてうす暗き 夕餉の膳に 向くもうれしき 佐藤霊峰

佐藤霊峰の歌碑(資料館前の歌碑)

佐藤霊峰の歌碑(柳原白蓮書)

 霊峰の死後、白蓮の揮毫で霊峰の生家脇に建立された「この道は 細く果てなき 道なれば 一人しづかに 行かんと おもふ」の歌碑が、当館前に移設されています。生家での建立の除幕式には白蓮も参列し、霊峰を悼んで「面影は 山にあり野にあり 川にありて 風の音にも 声のきこゆる」という歌を残しました。

栗木鉄山コーナー

佐藤霊峰

 江戸末期、仙台領北部に製鉄の高炉が順次造られました。その流れのなか、元治元年(1864)世田米村・子飼沢山高炉の建設開始という経緯を前身とし、後に栗木沢に高炉2基を所有、大正7年(1918)には水沢に1基増設するも終戦の不景気により2年後に事業休止、廃業した栗木鉄山。製鉄技術発達史上でも重要な遺跡とされ、銑鉄生産国内4位、民間製鉄所で3位の実績、大正6年には500名超の従業員が製鉄村を形成していた誇るべき歴史を語る製鉄の道具たちを展示しています。

炉ばたのくらし

佐藤霊峰の歌碑(柳原白蓮書)

 昭和初期に建築された民家の台所やいろりを原寸大で再現しています。台所の土間の煮炊きをするかまどや羽釜、自在鉤が下がる温かな囲炉裏は、ある年代以上、の人々にはなつかしいことでしょう。こうした道具や、大勢の家族が揃っての食事風景など、農村部から消えつつある生活文化を垣間見ることができます。

民間信仰コーナー

民間信仰民間信仰民間信仰民間信仰

 自然の恵みにたたえ、時としてその厳かさに恐れおののき、祈りをささげてきた先人たち。神をあがめ、祈願する気持ちは、さまざまな形で表現されてきました。